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カーボンナノチューブとは?その性質と粉体供給の難しさ、安定供給にスクリューフィーダーが最適な理由

カーボンナノチューブは、軽くて強く、しかも電気や熱をよく通す・・・そんな「夢の炭素材料」として、電池・樹脂・導電塗料など、さまざまな分野で注目されています。

しかし、実際に製造現場で扱おうとすると、「粉がうまく流れない」「少しずつ出したいのに詰まってしまう」といった声がよく聞かれます。
この記事では、カーボンナノチューブの基本的な性質から、なぜ供給が難しいのか、そしてスクリューフィーダーがどう役立つのかをわかりやすくご紹介します。


カーボンナノチューブとは?

カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube、CNT)は、炭素原子が六角形の網目状につながった「グラフェンシート」が筒状になった構造をしています。
直径は数ナノメートル(1ナノメートル=1ミリの100万分の1)と非常に細く、繊維のように長い形状をしているのが特徴です。

主な特性

・軽くて強い:鉄の数十倍の強度を持ちながら非常に軽量

・電気・熱をよく通す:導電性・熱伝導性ともに優れている

・アスペクト比が高い:長さに対して直径が極めて小さい

これらの特性を活かし、リチウムイオン電池の導電助剤や、樹脂の補強材、導電塗料やインクなどに利用されています。


なぜカーボンナノチューブの粉体は扱いにくいのか?

CNTは非常に優れた特性を持つ一方で、「粉体として扱うのが難しい」ことでも知られています。その理由を説明していきます。

1. 付着・凝集しやすい

CNTは繊維のような形をしているため、お互いに絡まりやすく、空気中でダマ(凝集体)になりやすい粉体です。
結果として、ホッパー内でブリッジができたり、うまく流れなかったりします。

2. とても軽くて舞いやすい

比重が小さいため、空気の流れや静電気で簡単に飛散してしまいます。
作業環境や安全面の配慮も欠かせません。

3. 定量で出すのが難しい

流動性が悪いため、重力落下や振動フィーダーでは安定した定量供給が難しくなります。
工程に合わせた安定供給には工夫が必要です。


スクリューフィーダーがCNT供給に向いている理由

カーボンナノチューブのように“流れにくい粉体”を安定して供給するには、スクリューフィーダーが最も適しています。

1. スクリューで「強制的に」送り出せる

スクリューの回転によって粉体を押し出すため、流動性が低い粉でも安定して供給できます。

2. ホッパーやスクリューの形状を変えられる

ブリッジ対策として撹拌機構をつけたり、粉体の特性に合わせたスクリュー形状を選べます。

3. 回転数で定量制御できる

スクリューの回転速度をインバーターやサーボモーターで制御することで、グラム単位の精密供給も可能です。
これは研究用途や試験生産にもぴったりです。

4. 密閉構造で安全に

密閉型の構造を採用すれば、粉じんの飛散を防止し、作業環境を清潔に保てます。


CNTを扱う現場で求められるフィーダー仕様とは?

CNTのような微粉・軽量粉を安定して供給するためには、フィーダーにも特別な工夫が必要です。
現場では次のような仕様が求められています。

・ステンレス(SUS304・316)製で耐薬品性・清掃性が高い

・ホッパーに撹拌機構を追加してブリッジを防止

・スクリュー回転数を自在に制御できる・密閉構造で吸引搬送や反応槽への直接供給も可能

これらを備えたスクリューフィーダーなら、CNTのような扱いにくい粉体でも安定したプロセスが実現できます。


CNT供給のポイントは「流動性対策」と「定量制御」

カーボンナノチューブは、性能面では非常に魅力的な素材ですが、粉体としては扱いが難しい材料です。
その供給では、「流動性の確保」と「安定した定量制御」が重要なポイントになります。

スクリューフィーダーはその両方を満たすことができる装置です。
粉体特性に合わせてスクリュー形状やホッパー構造を最適化することで、CNTの安定供給と品質の安定化を実現します。

株式会社セイワ技研では、カーボンナノチューブのような微粉・軽量粉にも対応できるスクリューフィーダーを自社設計・製作しています。
CNTや導電助剤などの特殊粉体でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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