粉体搬送機「バキュームコンベア」の駆動方法には、主に「ブロワ式」と「エジェクタ式」の2つが存在します。それぞれの特徴やメリット、デメリットについて解説します。
1. ブロワ式(Blower Type)
特徴
ブロワ式は、電動ブロワ(ファン)を使用して、空気を圧縮し搬送ライン内に吸引力を発生させる駆動方法です。大きなファンを使って強力なエアフローを生み出し、粉体を搬送します。通常、長距離搬送や大量搬送に向いています。
メリット
- エネルギー効率が高い:電動モーターを使用するため、長時間の稼働や高い吸引力が必要な場合でも効率的に動作します。
- 大容量対応:長距離や大量の粉体を搬送できるため、工業用途や生産現場での大規模な粉体搬送に最適です。
- 汎用性が高く導入が手軽:少し高い場所へ設置されたホッパーへの持上げ作業の改善で検討する場合、設備構成も手軽で比較的低コストで高い作業効率を実現することが可能です。
デメリット
- 設置スペースを要する:ブロワを置くスペースを確保する必要があります。ブロワの電気容量は、200V三相3.7kw程度が一般的な目安です。
- クリーン環境下での使用は困難:ブロワをクリーンルームなどの環境下に設置することは困難です。排気用のフィルターは装備しますが、外部へ引っ張り出すなど考慮する必要があります。
2. エジェクタ式(Ejector Type)
特徴
エジェクタ式は、圧縮空気を利用してエアジェットを発生させ、搬送ライン内に負圧を作り出す駆動方法です。小型のエジェクタを使用することでコンパクトな装置設計が可能です。
メリット
- 防爆エリアでの使用が可能:エア駆動方式のため、火花や熱を発生させるリスクがなく、防爆エリアでも安全に使用できます。これは、危険物を取り扱う化学工場や製薬工場などで重要なポイントです。
- 製薬業界向けの高品質材料:例えばPiab社のバキュームコンベアは、SUS316Lステンレスを使用しており、腐食や衛生面で厳しい基準が求められる製薬業界でも対応可能です。医薬品製造ラインでの使用においても安全性と信頼性が確保されます。
- コンパクト設計が可能:装置のサイズが小さく、省スペースで設置が可能です。
デメリット
- エネルギー消費が高い:圧縮空気を大量に使用するため、長時間運転する場合にはエネルギー消費が増え、ランニングコストが高くなります。
- 大量搬送に不向き:小型であるため、ブロワ式に比べて搬送能力が劣り、大量の粉体や長距離の搬送には不向きです。
- 付帯設備にコストがかかる:エア供給に必要な大型コンプレッサーやエアタンクが追加されることで、結果的にシステム全体の初期投資が高くなることがあります。
- 消耗部品コストが高い:エジェクタ式のバキュームコンベアは海外製のため保守部品のコストは高くなります。また日本に在庫がない場合、輸入までに納期がかかる場合も想定されます。
まとめ
「ブロワ式」と「エジェクタ式」の選択は、搬送する粉体の量や搬送距離、エネルギー効率の重視度など、使用環境に依存します。
弊社では、主にホッパーへの補給目的での持ち上げ搬送のため、搬送距離が比較的短く(数m程度)、トータルで考えるとエジェクタ式よりもコスト面で有利です。
エジェクタ式は大量のエア消費を伴うため、大型のコンプレッサ(とエアタンク)が必要になります。工場内で多設備と兼用でコンプレッサを使用している場合には、動作に影響が出る場合がありますし、専用で設置する場合にもプラスで付帯設備コストとしてかかってくるので要注意です。