キュービテナー(藤森工業/ZACROS製)は、BIB(バッグインボックス)容器の中でも高い密閉性と耐久性を持つ成型タイプの代表格です。
飲料・調味料・化学薬品など幅広い液体に利用されていますが、充填工程で液漏れや泡立ち、エア混入などのトラブルが起きやすいのも事実です。
この記事では、
「キュービテナーに液体を充填するときに起きる問題点」
「安定した充填を行うための機構設計の考え方」
について詳しく解説します。
キュービテナーとは?構造と特徴
キュービテナーは、藤森工業(ZACROS)が製造する成型タイプのBIB容器です。
ポリエチレン製の軟質バッグに液体を充填し、段ボールなどの外箱に収めて輸送・保管する構造で、次のような特長があります。
・自立性が高く、変形しにくい
・透明度があり内容量を目視確認しやすい
・再使用が可能なタイプもある
・専用コックやバルブ部で液の取り出しが容易
一方で、このバルブ構造や成型形状が充填機側の設計と密接に関係するため、液体充填時に注意が必要です。
キュービテナー充填でよくあるトラブルと原因
① 液漏れ・にじみ
キャップが斜めに締められている場合、輸送中にわずかな隙間から液漏れが発生することがあります。
原因例:
・キャップと容器ネジ部分の寸法誤差にバラつきがあり締まりが悪い
・作業者の締め方によるバラつき
・ハンドキャッパーで力任せに締め込むためのバラつき
② 泡立ち・液跳ね
キュービテナーは成型構造のため、液が底面や壁面に当たると跳ね返りや泡立ちが発生しやすい傾向にあります。
特に低粘度液や界面活性剤を含む液体では、少量でも泡が大量に発生します。
原因例:
・充填初期に空気層が残っているため、空気を巻き込んで発泡する
・流速が速く発泡を促す、また助長する
・液を上から落としたタイミングで発泡し消泡しない状態で充填する
③ 計量誤差
成型BIB特有の容器の固定のしにくさから、充填中に容器口へ充填ノズルが触れることで計量誤差となる可能性があります。
原因例:
・内袋固定用治具が固定部のリングサイズと微妙に異なり、充填中容器がズレて干渉する
安定した充填を実現するための設計ポイント
1. 計量誤差の防止、充填ノズルと内袋を干渉させず確実に固定
ノズルの径・形状を容器の口径に合わせることが基本ですが、
キュービテナーでは特に容器形状が不安定なため、口のリング部分を固定治具で安定することが求められます。しかし一般的な充填機メーカーの固定方法だと、平板をリングサイズに合わせて切っただけの形状であるため、充填中にズレが生じる可能性があります。
セイワ技研のBIB充填機なら、内袋容器の口をエアシリンダでロック固定、さらに充填ノズルを容器口に密着させた状態で充填を行うため、容器のズレは100%発生しません。
2. 発泡対策、充填ノズル昇降と流量制御
一般的な充填機の場合、ロングノズルを昇降させることで発泡を抑えつつ、定量前に流量を落とすことで微調整を行います。
セイワ技研でもロングノズル昇降タイプは扱いがありますが、BIB充填機であれば、ノズルを容器口に密着させた状態で充填を行うため、泡立ちや跳ね返りの心配はありません。
特に泡立ちがひどい洗剤や醤油などが原料の場合には、真空装置をオプション装備し、最初に容器内の残エアーをすべてなくした状態で充填をすることで、泡立ちなしかつスピード充填を可能にします。
流量制御は、給液を自然落下・ポンプどちらで行うかで異なります。
自然落下の場合は、バタフライ弁で流量調整制御、ポンプ給液の場合は、ポンプの回転数をインバータで制御します。
3. 液漏れ対策、キャップトルク管理とチェック機能
輸送中の液漏れ問題を解消するために、まず確実に一定圧でキャップを締め付ける必要があります。
セイワ技研のBIB充填機であれば、自動キャッパーを装備し、キャップの締付けトルクを数値管理することができます。
設定値到達の判断と数値の記録、また斜めキャップ検知のためにセンサシステムを追加することもできます。
BIB充填機が選ばれる理由
セイワ技研のBIB充填機は、
キュービテナーをはじめとする主要BIB容器(ロンテナー、バロンボックス、チアーテナー、Zテーナー)オールマイティに対応可能です。(※アタッチメント対応)
特長
・容器メーカー、容器タイプにもアタッチメント対応
・内袋を膨らませずにそのままセット可能(ノズル密着で膨らませながら充填)
・一定トルクにてキャッピングまで対応可能(数値管理)
・材質変更可能(SUS316L)、接液部(充填ノズル)の高い分解洗浄性
BIB容器に特化した液体充填の安定性だけでなく、
半自動機でありながら、1人作業、1台でキャッパーまで対応できる点が、
扱いの面倒なバッグインボックスへの充填作業のある製造現場で高く評価されています。
容器特性を理解した上での最適設計が品質を左右する
キュービテナーは高品質な成型BIB容器ですが、
その構造ゆえに「泡立ち」「漏れ」「充填誤差」などのトラブルが起きやすい容器でもあります。
しかし、容器特性を理解し、
ノズル設計・流量制御・姿勢制御を最適化すれば、
安定した充填作業が可能です。
株式会社セイワ技研では、
藤森工業(ZACROS)のキュービテナーをはじめ、
各メーカー容器に合わせたアタッチメントと制御プログラムを個別設計しています。「お使いの容器名と液体名をお知らせいただければ、最適仕様をご提案します。」