技術と製品紹介

BIB専用充填機と汎用充填機の違いとは?

液体製品の包装で広く使われているバッグインボックス(BIB)容器
近年では、積水成型の「ロンテナー」、小泉製麻の「バロンボックス」、藤森工業(ZACROS)の「キュービテーナー」や「Zテーナー」、細川洋行の「チアーテナー」など、成型・ガゼットタイプを問わず多様な銘柄が採用されています。

しかし、これらの容器に液体を安定して充填できる機械は限られています。
ここでは、汎用充填機(ロングノズル/固定ノズル)とBIB専用充填機の構造的な違いをわかりやすく解説します。


1. ロングノズル・固定ノズル方式とは?

一般的な汎用充填機は、一斗缶やポリタンクなどの上開口容器を想定しています。
そのため、ノズルは固定式、あるいは液面下まで差し込むロングノズル方式が主流です。

この構造では、

・ノズルが上からまっすぐ下へ落ちる
・液面の上昇に合わせてノズルを引き上げる(または容器口上で固定)

という動作で、充填量を制御します。

この仕組みは、容器が硬く、形状が安定している場合に非常に効果的です。
しかし、BIB容器のように柔軟で、かつ口栓部から充填するタイプでは、構造上いろいろと問題が生じます。


2. 汎用充填機でBIBを充填しようとすると起こる問題

問題点原因
① 充填中容器がズレて計量誤差になる固定治具が平板のため、隙間が大きいと充填中にバッグがズレてノズルに干渉する
② 泡立ちが酷いと充填速度が落ちるノズルを昇降させながら発泡を防ぐが、昇降だけでは制御しきれない
③ 内袋を事前に膨らませる必要がある納品時の折りたたまれた状態だと、充填液が跳ねて噴き出す可能性がある
④ 充填後のキャップ作業が煩雑自動キャッパー機構がなく、手作業になるため締め圧が安定しない
⑤ 洗浄に時間がかかるロングノズルの構造上、内部を分解しての洗浄はどうしてもやり難い

つまり「汎用充填機でBIBに充填する」のは、様々な制約が入り、扱いも面倒なことから
作業者の負担が大きくなる傾向にあります。


3. BIB専用充填機はどこが違うのか

BIB専用充填機は、BIB容器特有の“注入口構造”に合わせて設計されています。

主な特徴:

容器口の自動開閉チャッキング機構
→ BIB容器の口を確実にロック、充填時バッグのズレ防止とキャッピング時のトルク圧にも耐えられる構造

容器に合わせたノズル高さ昇降機構
→ 容器容量やエア溜まり等に合わせて、ノズルの高さを調整することが可能な機構

発泡が酷い液体原料もスピード充填を可能にする真空装置
→ 発泡しやすい液体でも充填前にバッグ内の残エアを真空引きすることで、ほぼ発泡することなく高速充填することが可能

自動キャッピング機構
→ 充填完了後、自動的にキャッパーヘッドに切り替わり、その場でキャップまで完了

これにより、容器や液種が変わっても、充填精度・品質を一定に保つことができます。


4. 洗浄・メンテナンス性も大きな違い

汎用機のロングノズルは、どうしても長さが長いため、分解洗浄が手間になることが多い構造です。
一方、セイワ技研のBIB専用充填機は、

接液部SUS304/316L・サニタリー対応
工具レス構造で分解洗浄が容易に可能

といった食品・化学・医薬用途にも対応する衛生設計を採用しています。


5. セイワ技研のBIB充填機が選ばれる理由

株式会社セイワ技研では、国内主要メーカーのBIB容器
(キュービテーナー・ロンテナー・バロンボックス・Zテーナーなど)にワンタッチで対応できるアタッチメントを自社設計しています。

・成型・ガゼット・ピロー、ほとんどのタイプに対応
・液体特性に合わせた質量式充填
半自動からコンパクトなライン化までカスタマイズ可能
発泡対策の真空装置対応バキュームノズル搭載可

「現状の人手作業では対応の限界」「今までの充填機ではBIBへの充填が難しい」「容器が多様化して段取りが増えている」
そんな課題に、1台で複数銘柄の容器を安定充填できるソリューションを提供しています。


6. ロングノズルとの最大の違い

BIB充填機との最大の違いは、“充填速度”です。
特に発泡性の高い液体充填の場合に顕著に現れます。

ロングノズルは、容器深くノズルを突っ込んだ状態で充填を開始し、液中にノズルを浸けたまま上昇することで充填中の発泡を抑えています。

しかし最大の欠点は、充填速度が上げられない点になります。
充填速度を上げるためには、給液速度を上げる必要がありますが、そうすると発泡してしまうため速度を落とさざるを得ません。

発泡が酷い液の場合は、ノズルを突っ込んだ状態でスロースタートから始める必要もあります。給液速度を上げると、容器内のエアを巻き込んで発泡してしまうことが原因です。

BIB充填機は、元々容器の口へノズルを密着させて行う充填スタイルですが、それでもバッグ内上部に最初からある残エアを巻き込むと発泡します。そこで、最初に真空引きをしてすべての残エアをなくした状態から充填を開始することで、完璧に発泡を抑え込むことに成功しています。

発泡性の高い液体も高速充填を行いたい場合には、ぜひBIB充填機を選択してください。