粉体に関する基礎知識

粉体の安息角(あんそくかく)とは?粉体供給機の選定に必要な理由

粉体の安息角(あんそくかく)とは、粉体を平らな面に積み上げた際、自然に形成される円錐状の斜面の角度のことを指します。この角度は粉体の流動性や粒子の形状、湿気、表面摩擦などに左右され、粉体の取り扱いや保管、搬送において重要な指標となります。一般的に、安息角が小さいほど粉体の流動性が高く、逆に大きいほど粉体は粘性が高く流れにくい性質を持つと考えられます。

安息角の測定は粉体工学においてよく行われ、粉体の特性を理解し、効率的な搬送や処理を行うために欠かせません。粉体供給機を選定する際になぜ安息角が必要となるのか考えてみましょう。

スクリューフィーダーでの安息角の必要性

粉体供給機としてスクリューフィーダーを選定する際、安息角は重要な指標となります。安息角が大きい粉体は流れにくく、スクリューフィーダー内で詰まりやすくなるため、適切なフィーダー設計が必要です。逆に、安息角が小さい粉体は流動性が高いため、よりスムーズな搬送が期待できますが、過度の流動性は粉体の安定供給に問題を引き起こす可能性もありますので対策が必要となる場合もあります。

具体的には、スクリューフィーダーの設計では、粉体の安息角を考慮し、フィーダー径、スクリュー径、ピッチ、回転速度、ホッパーの形状を調整する必要があります。安息角のデータを参考にフィーダーの構造や動作を最適化することで、粉体の詰まりや供給量の変動を防ぎ、安定した定量搬送を行うことができます。

ホッパーの排出角との関係性

粉体の安息角は、ホッパーやサイロなどの粉体貯蔵設備における重要な設計要素とも深く関係しています。特に、ホッパーの排出角(ホッパーの傾斜角)は、粉体が効率的に流れ出すために重要です。ホッパー内に貯蔵された粉体がスムーズに排出されるかどうかは、ホッパーの角度と粉体の安息角によって大きく影響を受けます。

ホッパーの排出角が粉体の安息角よりも小さい場合、粉体がスムーズに流れず、ホッパー内で「ブリッジ」と呼ばれる現象が発生する可能性があります。ブリッジは粉体がホッパーの開口部で凝集し流れが止まる状態で、これにより排出不能となります。

逆に、ホッパーの排出角が安息角よりも十分に大きければ、粉体は自然に流動しやすくなり、詰まりが発生しにくくなります。そのため、ホッパーの設計では、粉体の安息角を基準として、適切な排出角を設定することが重要になります。

ブリッジ対策としては、ホッパー内でアジテータ(ブリッジブレーカ)と呼ばれる撹拌羽根を回すことで粉体をほぐす方法、バイブレータという振動機を取付けて振動によりほぐす方法、またノッカーという衝撃を与えることで崩落を促す方法などがあります。どれも一長一短あるので、粉体の状況によって適切な方法を選択することが必要になります。

設計のポイント

  1. 安息角の測定: 粉体の特性を理解するために、安息角を測定し流動性を把握します。
  2. ホッパー排出角の設定: 安息角よりも大きな排出角を確保し、粉体のスムーズな流れを促進します。弊社のホッパーは標準60°で、ほぼカバーできる設計になっています。
  3. 補助装置の活用: 安息角が大きく、粉体の流動性が低い場合、ホッパーに撹拌羽根、振動装置やエアレーション装置を設置して流動を改善します。
  4. スクリューフィーダーとの連携: ホッパーとスクリューフィーダーの連携を最適化し、安定した粉体供給を実現します。

結論

粉体の安息角とホッパー排出角は、効率的な粉体搬送のために密接に関連しています。安息角を正確に把握し、それに基づいてホッパーの排出角を適切に設計することで、粉体の詰まりを防ぎ、スクリューフィーダーなどの搬送装置における効率的な運用が可能になります。