問題解決事例

湿気による粉体の凝集を防ぐための粉体機器の活用と注意点

粉体を扱う際、特に吸湿性の高い粉体では、湿気による凝集が大きな課題となります。湿気を吸収した粉体は、流動性が低下し、詰まりや搬送の効率が落ちるだけでなく、製品の品質にも影響を与える可能性があります。この問題を解決するためには、空調管理や乾燥設備の導入に加え、粉体機器の正しい使用とメンテナンスが重要になります。

1. スクリューフィーダーの注意点と改善策

問題点:

スクリューフィーダーは、吸湿性の高い粉体では、湿気を吸うことで凝集しやすくなり、スクリュー内部で詰まりが発生するリスクがあります。また、粉体がスクリューに付着し、供給量が不安定になることも考えられます。

改善策:

  • 空調管理の強化: スクリューフィーダーが設置されている環境の湿度を適切に管理することが重要です。湿気を抑えるために、空調システムを導入し、湿度を一定に保つことで、粉体の吸湿を防ぎます。
  • 不活性ガス投入: 特に湿気を吸いやすい粉体には、ホッパーからフィーダー内の原料が入っている管内に不活性ガスを投入することで、湿気の混入を防止することが可能です。ただし、この仕様を成立させるためには、スクリューフィーダー本体の密閉度を高めた仕様にしておくことが前提となります。
  • コーティングやスクリュー形状の変更: スクリューやホッパーの表面に付着防止のコーティングや非コーティング処理などを施す方法があります。スクリューの場合は、軸のないシャフトレスタイプへ形状変更します。

2. エア吸引ローダーの注意点と改善策

問題点:

エア吸引ローダーは、吸湿性の高い粉体は湿気によって凝集し、搬送中に詰まりや粉体の不均一な流れが発生する可能性があります。また、湿った粉体は搬送管内で付着し、クリーニングが必要になる場合があります。

改善策:

  • 搬送ラインのドライ環境確保: エア吸引ローダーの搬送ライン内を常にドライな状態に保つことが、湿気による凝集を防ぐために重要です。エアドライヤーを使用し、搬送空気自体の湿度を低く保つことで、粉体の凝集を抑えることができます。
  • 定期的なクリーニング: 湿気や粉体の付着を防ぐためには、定期的に搬送ラインをクリーニングすることが重要です。ライン内に残った粉体が湿気を吸収し、次回の搬送時に問題を引き起こさないようにします。
  • 搬送速度の調整: 吸湿した粉体は流動性が低下するため、搬送速度を適切に調整することで、詰まりを防ぐことができます。過度な高速搬送は凝集を促進するため、速度を慎重に管理する必要があります。

3. タンブラーミキサーの注意点と改善策

問題点:

タンブラーミキサーで混合を行う際、湿気を吸った粉体は凝集しやすく、均一な混合が難しくなります。特にリサイクル原料や湿度の高い環境では、粉体が混ざりにくくなることがあります。

改善策:

  • 粉体の事前乾燥: ミキサーに投入する前に粉体を乾燥させ、凝集を防ぐことで、均一な混合が可能になります。乾燥機を併用し、粉体の水分含有量を最適に調整することが重要です。また投入時の室内環境にも注意が必要です。
  • 湿度管理の徹底: タンブラーミキサーが設置されている部屋の湿度を管理し、適切な湿度レベルを維持することで、混合時の凝集を防ぎます。タンク内の密閉度も必要なので、パッキン・蓋がズレなくセットされ、外部からの湿気混入なきよう注意します。
  • 邪魔板の設置: 吸湿して凝集した粉体をほぐすため、容器内へ邪魔板を装着することがあります。やわらかい固まりであれば、障害物に当たることで崩れることが期待できます。

まとめ

吸湿性の高い粉体の取り扱いでは、湿気による凝集を防ぐための空調管理や乾燥設備の導入は必須です。粉体原料を搬送、供給、混合する作業の際は、各機器のメンテナンスや運用方法を工夫することで、作業効率を最大化し、製品の品質を保つことが可能になります。湿気によるトラブルを未然に防ぐためには、全体的な環境管理とそれぞれの機器の特性を理解し、最適な運用を行うことが大切です。