医薬品の研究開発において、粉体原料の均一な混合は製品の品質に大きな影響を与える最も重要な工程の一つです。原料の混合状態が不十分だと、製品の有効性や安全性に課題が残ってしまいます。そのため、均一な混合を実現する高度な混合技術が求められています。
生産用設備としてIBC容器(フロービン、コンテナ)を使用したコンテナミキサーを導入されている企業は多く、研究開発用設備としても同モデル混合機をスケールダウンした「小型IBC混合機」を使用することが再現性への近道となります。研究開発の効率化と、開発から量産化への円滑な移行を実現します。
IBC混合機とは
IBC混合機とは、本来大型の中間製品容器であるIBCコンテナ自体を、ドラム型の混合タンクとして利用する混合機のことです。生産現場では、この大型のIBC混合機(コンテナミキサー)が粉体の大量混合に活躍しています。
一方で本製品の小型IBC混合機は、その機能と構造をコンパクトにスケールダウンさせた製品です。タンク容量は5L、10Lなどの小さなサイズを選択できるため、パイロット製造や研究開発での活用に最適です。開発の初期段階から、本格生産に移行するまでの一貫した利用が可能です。
小型IBC混合機の仕様
コンテナの材質は、SUS304とSUS316Lの2種類から選択できます。標準はSUS304ですが、より高い安全性を考慮して特に医薬分野ではSUS316Lが多用されています。さらに要求に応じて、接粉部のバフ研磨を電解研磨加工にグレードアップすることも可能です。
混合はコンテナ本体の回転によりゆるやかに行われます。回転数はインバーターで可変が可能なため、混合物や配合の違いに合わせて最適な回転数を設定できます。回転体への安全対策として4面安全柵を設置し、運転中の回転物への巻き込まれを防止しています。
安全柵は、IBC混合機本体と連結しており、キャスター移動式の設計のため、場所を選ばず柔軟なレイアウトが可能です。前扉は大きく観音開きするため、容器セットがやりやすく、機器内部の清掃やメンテナンスにも優れたアクセシビリティを発揮します。
安全機構と洗浄対策
前扉には、安全のためのインターロック機構を装備しています。扉が開いた状態で装置が運転されることを確実に防止します。医薬品製造において非常に重視される無菌・無塵環境にも対応しています。密閉構造のためクリーンな雰囲気を維持でき、装置内部への異物の混入を防ぎます。さらに容器内面の形状が滑らかで、中身を完全に排出できるため原料替え時の洗浄作業も容易に行えます。
バリデーション対応
本製品はIQ(据付時適格性確認)、OQ(稼働性能適格性確認)のバリデーションに対応しています。医薬品製造設備では、製造工程の適正性をあらかじめバリデーションで検証しておくことが義務付けられています。本製品はそれら一連のバリデーション作業をサポートすることで、研究開発段階から量産化への移行を円滑に行えるようにしています。
用途と活用例
小型IBC混合機は、パイロットプラントや医薬品原料の評価分析、錠剤開発などの試作研究で幅広く活用されています。検証や改良を重ねながら研究を進められるため、研究開発の効率化に大きく貢献します。さらに研究成果を製品化する際も、小型ながら高品質、高性能なスペックがスムーズな量産体制の構築を実現します。
製品サマリー
このように小型IBC混合機は、医薬品の研究開発機としてのニーズに応えられる混合設備です。優れた品質と高い生産性を発揮するだけでなく、開発から量産化への移行が容易にでき、設備の流用性と機動性にも富んでいます。容量違いのご要望があれば、用途と要件に合わせて最適な機種にカスタム設計し、製作することが可能です。