1. 粉体現場での共通課題「重い原料の持ち上げ」
粉体を取り扱う製造現場において、「原料の持ち上げ・投入作業」は、いまだ多くの現場で人力に頼られている作業のひとつです。
とりわけ20kgを超える紙袋入り原料を、階段や架台を使って高所まで持ち上げて投入するという作業が日常的に行われているケースも少なくありません。
こうした重作業には、当然ながら以下のような問題がついて回ります。
- 作業者の安全性リスク(腰痛、転倒、疲労蓄積)
- 作業者による定量性のバラツキ
- 再現性やトレサビリティの欠如
- 作業工数、人件費の増大
では、こうした課題はどのように解決できるでしょうか?
2. 原料を持ち上げるには?代表的な搬送方法とその課題
原料を高所へ持ち上げて投入する方法には一般的にいくつかの選択肢があります。
以下に代表的な方法と、それぞれの長所・短所を整理してみます。
2-1. ベルトコンベア
特長:構造がシンプルで搬送速度も速い
課題:粉体がベルト上で飛散しやすく、周囲が汚れるため衛生面で不向き
2-2. バケットコンベア
特長:垂直方向の搬送が可能
課題:飛散やこぼれが多く清掃性が悪い。粉体の種類によっては搬送ロスが発生
2-3. エアー搬送(ブロワ式/エジェクター式)
特長:密閉環境で飛散が少なく、省スペース
課題:配管内の清掃性に難あり。頻繁な原料変更には不向き
2-4. 傾斜スクリューコンベア
特長:連続搬送が可能で、量のコントロールも比較的しやすい
課題:原料変更にはトラフの清掃性がネック。傾斜が急になると搬送効率が低下し、設置スペースやメンテ性も悪化
上記のようにどの方式にも一長一短があり、特に「多品種・小ロット生産」や「現場の柔軟性」を求められる工程では、従来の方式では対応が難しいケースも多々あります。
3. 現場が必要とする条件を叶える「理想的な供給方法」
実際の現場ニーズを整理してみると、下記のような条件が求められています。
- 原料投入は低い位置で行いたい(重作業は避けたい)
- 投入した原料は高所まで自動で搬送したい
- 供給には一定の定量性が求められる
- 原料変更や洗浄がしやすい構造が望ましい
- 必要なときだけ使用し、使わないときは片づけたい(省スペース性)
このような条件を満たす方法として、弊社では「昇降リフター付スクリューフィーダー」をご提案させていただいています。
4. 昇降リフター付スクリューフィーダーとは?
「昇降リフター付スクリューフィーダー」は、低位置で原料を投入し、高所へ持ち上げてから定量供給することができるできる理想的な粉体供給機です。
4-1. 主な構成
- スクリューフィーダー部:粉体原料を一定量ストックし定量供給する供給機
- リフター部:機器全体を持ち上げる昇降機構(手動/足踏み/バッテリー式)
- キャスター付きフレーム:必要なときに投入場所へ簡単に移動・設置
4-2. 導入のメリット
- 重作業を排除:投入は床面、腰の高さでOK
- 定量供給が可能:人手投入と比較して抜群の定量性でバラつきなし
- 粉体の飛散を抑制:密閉構造により外部飛散のないクリーンな搬送
- 洗浄性・分解性が高い:原料切替が多い現場でも接粉部は工具レスで分解が可能
- 必要なときだけ設置使用:使わないときは移動が出来るため省スペース
5. リフター方式の選定ポイント
導入時には、使用頻度や予算、現場環境に応じてリフターの方式を選ぶことが可能です。
リフター方式 | 特徴 | 適した現場 |
---|---|---|
手動式 | 最もコストを抑えられる | 設置頻度が少ない、小規模現場 |
足踏み式 | 多少の負荷軽減、簡易昇降が可能 | 中規模現場、複数回使用あり |
バッテリー式 | ボタン操作で昇降、最も作業効率が高い | 高頻度で使用する製造ライン |
6. 生産性と安全性の両立を実現する選択肢
「重い原料の持ち上げ」という、どこの現場にも共通する悩み。その解決には、作業の安全性と生産性を両立できる機器の選定が欠かせません。
従来のコンベアやエア搬送では対応しきれなかった課題に対して、昇降リフター付スクリューフィーダーは、柔軟かつシンプルな解決策となる可能性があります。
これまで人力に頼っていた作業を機械化することで、作業者の負担軽減だけでなく、供給の安定によって製品の精度向上にもつながります。
お客様の現場に合った、高所への搬送、供給作業を見直すきっかけとして、ぜひ参考にしてみてください。