問題解決事例

粉体の飛散防止で作業環境を改善

粉体を取り扱う工場では、粉体の飛散が作業環境を悪化させ、作業者の健康リスクや設備のメンテナンス負担を増大させる原因となります。粉体が空気中に舞い上がることで、作業効率が低下し、異物混入や汚染のリスクも高まります。

1. スクリューフィーダーによる粉体供給時の飛散防止

スクリューフィーダーは、ホッパーからフィーダー部が密閉環境で粉体を定量搬送することができます。ただし、原料排出の際に飛散させてしまうことが考えられるため、下記の点に注意して改善を行ってください。

  • フィーダー先端部の密閉処理:スクリューフィーダーの先端は水平もしくは下向き方向に原料を排出しますが、そのままだと開放状態となるため粉塵の飛散があります。供給先まで密閉状態で原料供給を行うためには、配管またはフレキチューブなどで接続することで密閉環境を作ります。これにより、粉体の舞い上がりや作業エリアへの飛散を抑えることができます。
  • 供給速度の調整:供給速度が速すぎると、粉体が勢いよく飛び散る原因となります。スクリューフィーダーの供給速度を適切に調整し、粉体が滑らかに供給されるようにすることで、飛散を防ぐことが可能です。スクリュー回転数はインバータ制御することで、最適な供給量と速度を維持できます。
  • 集塵機の設置:排出先に集塵機を設置し、排出時に発生する微細な粉体の吸引を行うことで、作業エリアへの粉体の飛散を最小限に抑えることができます。スクリューフィーダーと集塵機を連動させることで、効率的な飛散防止が可能です。

2. エア吸引ローダーによる粉体搬送時の飛散防止

エア吸引ローダーは、密閉環境で粉体を搬送するため、粉体が外部に飛散するリスクを軽減することができます。

  • 密閉搬送システムの利用:エア吸引ローダーは、粉体を密閉状態で搬送することが可能です。タンクや先のスクリューフィーダー搭載のホッパーまで粉体を直接吸引することで、作業エリアに粉体が飛散することを防ぎます。また、搬送中の粉体が外部に漏れないように、すべての接続部を密閉し、搬送経路からの粉体の飛散を防ぐ設計が推奨されます。
  • フィルターの導入:エア吸引ローダーに搭載されるフィルターは、搬送中に発生する粉塵を効果的に捕集します。高性能なフィルターを採用することで、微細な粉体の飛散を防ぎ、作業環境の清潔さを維持します。フィルターの定期的なメンテナンスも重要です。
  • 負圧搬送の利用:エア吸引ローダーは負圧で搬送を行うため、粉体が搬送経路から外部に漏れ出すことを防ぎます。負圧搬送により、粉体の移動中に発生する飛散や粉塵の飛び散りを抑制し、作業環境の安全性を高めます。

3. タンブラーミキサーによる混合時の飛散防止

タンブラーミキサーは、密閉タンクを回転させて混合するため、基本的には粉塵飛散はありません。しかし漏れによる粉塵飛散をさせないよう下記の点にはご注意ください。

  • 密閉型ドラムの採用:タンブラーミキサーは、粉体がドラム内部で回転しながら混合されるため、ドラムを完全に密閉することで、粉体の飛散を防ぐことができます。密閉型ドラムにより、外部に粉体が漏れ出すことなく、作業エリアの清潔さを保つことができます。そのため蓋と本体の間にセットされているパッキンが重要になります。
  • 粉体投入・排出時の飛散対策:粉体の投入や排出時に飛散が発生しやすいため、投入・排出時には集塵機の併用が効果的です。
  • 静電気対策の実施:粉体によっては混合時に静電気が発生し、粉体がドラム内や外部に吸着して飛散することがあります。静電気を防止するために、導電性のある素材を使用したドラムや、アース対策を行うことで、粉体の飛散を抑制することができます。

4. まとめ

粉体の飛散防止には、供給、搬送、混合の各工程において適切な機器の活用が重要です。スクリューフィーダーエア吸引ローダータンブラーミキサーはいずれも飛散防止対策を考えられた設計、構成になっています。今の時代は、作業環境の清潔さを維持し、作業者の健康リスクを低減することが、効率的な作業を実現するためにより必須事項として求められています。