問題解決事例

粉体充填機の活用ースクリューフィーダー導入による粉体計量充填の作業改善

粉体充填機の導入は、製品品質の安定やロスの削減に大きく貢献します。特に、粉体を正確に計量し、過不足なく充填することが求められる食品、化学、製薬業界では、人的な充填ミスや充填量のバラつき、また作業者による充填スピードの差などが、生産効率やコストに大きな影響を与えます。この課題に対し、スクリューフィーダーを使用した計量充填システムは、精度と作業効率の向上に大きな効果を発揮します。

1. スクリューフィーダーの特長と計量精度への影響

スクリューフィーダーは、回転するスクリューによって粉体を供給する装置で、粉体を一定量ずつ正確に送り出すことが可能です。この装置を充填プロセスに導入することで、計量精度が向上し、作業者による充填ミスや計量時間のバラつきを防ぐことができます。

  • 定量供給の仕組み:スクリューが回転することで粉体が一定量ずつ供給されます。回転速度をインバータで細かく制御できるため、目標充填量に応じてスピードを調整し、過不足のない充填が可能です。特に、高い計量精度を求められる場合、作業者が秤を見ながら行う作業は時間を要し、また作業者レベルにも左右されますが、スクリューフィーダーなら誰が扱っても同じ時間、精度を保ちながら充填作業を行えます。
  • 微調整機能:スクリューフィーダーは、回転速度だけでなく、スクリューの形状やサイズも選択可能です。粉体の特性に応じて最適なスクリューを使用することで、粉体の流動性を保ちながら精度の高い供給が実現します。

2. スクリューフィーダーを使用した計量充填のメリット

スクリューフィーダーを使用することで、従来の手動や簡易的な充填方式に比べていくつかのメリットがあります。

  • 充填ミスの削減:スクリューフィーダーの計量充填システムは、あらかじめ設定された量を正確に充填するため、人為的なミスがほとんど発生しません。これにより、充填過程でのロスや無駄が大幅に削減されます。
  • 作業の効率化:機械任せの計量ができるため、作業者の手間が大幅に軽減され、生産全体のスピードが向上します。特に大量生産においては、精度とスピードを両立させることが重要であり、スクリューフィーダーはその両方を実現します。
  • 粉体飛散の防止:スクリューフィーダーは粉体を密閉経路で供給するため、粉体が飛散するリスクが少なく、作業環境をクリーンに保つことができます。これにより、製品の品質管理と作業者の健康管理も向上します。

3. 充填精度向上のための具体的な改善策

スクリューフィーダーを使用した粉体充填プロセスにおいて、精度を最大限に高めるためには、以下の具体的な改善策を実施します。

  • フィードバック制御の導入:スクリューフィーダーにロードセルを組み合わせたフィードバック制御システムを導入します。このシステムにより、充填中にリアルタイムで重量を計測し、目標値に達する直前でスクリューの回転速度を緩めるなど、充填量を正確に調整できます。これにより、過不足充填を防ぎ、常に一定の精度で充填が行えます。
  • ステップ充填方式の採用:スクリューフィーダーの充填プロセスを「高速充填」と「低速充填」の二段階に分けることで、精度を高めます。まずは高速で大部分を充填し、残りのわずかな量を低速で微調整することで、過不足を防ぎつつ、効率よく作業を進められます。
  • スクリュー形状の最適化:充填する粉体の性質に合わせてスクリューの形状やピッチを調整します。たとえば、流動性の低い粉体には、ピッチの広いスクリューを使用して詰まりを防ぎ、流動性の高い粉体には、ピッチの狭いスクリューを使用して供給の安定性を確保します。

4. スクリューフィーダーのメンテナンスと運用ポイント

精度を維持するためには、スクリューフィーダーの適切なメンテナンスと運用が必要です。

  • 定期的な清掃と点検:スクリューフィーダーは粉体が残りやすい部分があるため、定期的な清掃が必要です。特に、異なる種類の粉体を扱う際には、残留粉体が混ざらないように、内部の清掃を徹底します。
  • 摩耗部品の交換:スクリューや計量部の部品は、長期間使用すると摩耗し、精度が低下する可能性があります。定期的な点検と部品交換を行うことで、常に高い精度を保ちながら運用できます。

まとめ

スクリューフィーダーを使用した計量充填システムは、食品業界や化学工業、製薬業界など多くの分野で導入されています。スクリューフィーダー単体で計量作業を行うだけでなく、他の機械(粉砕機や振動篩)への定量供給を行うことで、処理不良や詰まり、固まりなどのトラブルを防止することにも役立っています。

化学、食品、製薬、どの業界にも言えることですが、スクリューフィーダーを使用した計量充填機を導入することで、製品ごとの均一な充填量を確保し、ユーザーに常に同じ品質の製品を提供することが可能となります。

また、作業者の負担を軽減し、安全性を担保できることからも、近年ますます手作業からスクリューフィーダー導入への動きが大きくなっています。