化学分野の研究開発や材料評価において、回転炉は焼成・反応・乾燥など幅広い用途で使用されています。特にラボスケールでは、少量原料を安定して供給しながら反応条件を評価するケースが多く、「供給量のばらつき」や「炉内への原料導入方法」が大きな課題となります。
今回ご相談いただいたのは、海外のとある企業の研究部門より、ロータリーキルンへ原料を定量供給したいというニーズでした。粉体や顆粒原料を安定的に投入し、反応の再現性を高めたいという目的です。
一般的に、回転炉への原料投入はホッパーからの自然落下や手投入で行われれますが、これらの方法では供給量のばらつきやブリッジ発生、さらには投入時の粉じん漏れといった問題が避けられません。特に研究用途では、わずかな供給変動が反応結果に影響するため、精密な定量供給が求められます。
そこで本案件では、回転炉内部へ直接スクリューを差し込む構造を設計しました。スクリュー先端を炉内まで延長することで、投入位置を明確化し、炉入口付近での堆積や付着を防止します。また、回転炉の回転による内部流動の影響を受けにくくなり、安定した供給が可能になります。


さらに重要となるのが、炉との接続部における気密性の確保です。ラボ用途では、有機溶剤雰囲気・不活性ガス雰囲気・高温条件など、外部への漏れが許されないケースも多くあります。本装置では、お客様ご指定のフランジ仕様に合わせた接続構造とし、ホッパーも粉体漏れおよびガス漏れを抑制できるよう、通常よりもシール性を強化した仕様にしました。
このような一体型構造には、以下のメリットがあります。
・炉内へ直接投入できるため供給の再現性が高い
・投入部での原料詰まりや堆積を低減できる
・密閉構造により粉じん飛散や雰囲気漏れを防止できる
・手投入を減らし、安全性と作業性を向上できる


一方で、ラボ設備では装置サイズの制約や分解洗浄性も重要なポイントとなります。そのため本設計では、従来のコンパクト性を保ちつつ、分解・清掃性も標準品から大きく変わらない設計にしております。原料変更や評価条件の切り替えが多い研究用途でも、扱いやすい構成です。
回転炉への定量供給は、単にフィーダーを設置するだけではなく、投入位置・気密性・清掃性・炉との取り合いを含めた総合設計が重要です。特にラボ用途では装置の自由度が求められるため、既製品では対応が難しいケースも少なくありません。
当社では、今回のように炉や反応装置に合わせた個別設計にも対応しています。回転炉や季節装置への供給で自動化をご検討の際は、原料特性・供給量・雰囲気条件などを踏まえ、最適な方式をご提案いたします。
